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時は流れ、時刻は現在12時を過ぎたところ。
家を出発したのが11時半頃だったから、誠都はかれこれ30分は外に居たことになる。
あまりにも主人公らしからぬチョロい主人公の誠都がエリーゼと下劣な条約を締結してから、まだ5分経つか経たないかぐらいだ。
つまりは、それだけ路上でのふたりの会話の時間が長かったということである。
「ホント、なにやってんだろう僕……。自室という唯一の安息の地にこんなバカを招き入れるなんて」
現在地は、湯月家・誠都の自室。誠都はそう小さくこぼし、ため息を吐いた。無論、傍らにはハッピーセットのごとく馬鹿神が居た。
「いいじゃないですか。読者の皆様には告げてませんでしたが、誠都さんのご両親は今、(テンプレのごとく)旅行に出掛けているんですしお寿司」
やたら説明口調なエリーゼの、ふざけた台詞の通りではあった。
両親の旅行の行き先は聞かされていないが、仲のいい夫婦である彼らからは「少なくともここ2ヶ月ぐらいは帰ってこない」という事だけは出発前に聞いていた。
夫婦仲睦まじいのはいい事なのだが、一体そんな長期間どこで何をしているのだろうか。誠都は不思議でならない。
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