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「それにしても誠都さんの部屋、なんと言うか……無個性ですね。まるでこの小説のように」
「黙れ」
ちょくちょくメタいボケをかましてくる阿呆を、誠都は2字で一蹴した。
「……あ、そうそう誠都さん、私どこで寝ればいいですか?」
「庭」
「誠都さんの鬼畜ッ……! でも……悔しいのに……感じちゃう……っ//」
「冗談だから、そんな気持ち悪い小芝居しとらんで。ここの隣の部屋が空いてるからそこ好きに使えよ」
約60日もの長期間を旅行に費やす両親の考えは誠都にはいかんとも理解しがたいものがあったが、今はその現状が助けになっているのも事実だ。
あんな夜遅い時間に出歩くこともできたのもそうだし、その両親不在の現状のおかげで、見てくれだけは弩級に麗しい馬鹿者を家にあげても騒ぎにならないし。
そもそも両親が居たら、この馬鹿者を家に入れようという大胆な決断は、とてもではないが誠都にはできなかった。
「ありがとうございます誠都さん。それではお部屋、丁重に扱わせてもらいますね♪」
礼を言い──そして実際にぺこりと一礼すると──エリーゼはドアを開けて廊下へと出ていった。
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