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誠都が内心で失態を悔いていると、しかし女性は突如、誠都の両手を取り、
「これは──運命に違いありません」
と。誠都に思いっきり顔を近づけてそう言った。
戸惑う誠都だったが、零距離までの接近により、誠都はここでようやく女性の顔を間近で見ることができた。
瞬間、誠都は思わず感嘆し、息を呑んだ。
と言うのも。
──細く薄い柳眉、凛々しく美しい切れ長の瞳、すらっとした鼻梁、小ぶりで艶のある唇。
それらのパーツが絶妙に調和された、ただただ圧倒的に“美しい”女性が誠都に迫っていたからだ。
しかし。誠都は彼女の言った事の意味と、何故いきなりこんな行動をしたのかが解せなかった。
「命を救っていただいた上にノリも良いなんて、あなた完璧過ぎますよ!」
「……はぁ……」
何とはなしに理由が分かった気がしたが、なおも至近距離の女性の絶讚の言葉に、曖昧な返事しかできない誠都。
確かに誠都は彼女の命を救ったし、ノリのよさには自信があったが、何故それだけで『完璧』とまで言われるのだろうか。
悪い気はしなかったが、彼女が自分を絶讚している理由がいまいち分からなかったのである。
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