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小さいが眉目秀麗の将来有望株だ。
「君が獏か!会いたかったぞ!獏!獏!獏!」
獏が何も告げる間もなく、黎樹が興奮気味に抱き着く。
最初は抵抗したが、次第に諦める少年。
幼くして、黎樹より大人だ。
「…父上、この人本当に"黎樹様"なの?」
「うむ、我らの黎樹様だ。」
「あんな凄いことした人には思えないんだけど。
…俺、黎樹様みたいになりたいって思ってたのに。」
確かにこの性格では、疑いもするだろう。
黎樹は耳ざとく、獏の呟きを聞いていた。
「僕みたいになりたかったのかい?
君は勉強は好きなのかな?」
「す、好きだけど…。」
「よし、次の大臣王は君だ!それまでにいーっぱい勉強するんだぞ?」
「れ、黎樹様!そんな安易に…!」
少年は訳がわからず、唖然としている。
黎樹は獏を抱き締めたままいい放つ。
「安易?そうだね、いつも僕は思い付きで言っている。
しかし、言ったことへの責任は果たしてきたはずだ。」
誰も何も言えない。黎樹の行った政は全て、無理だと思われていた。
確かに少し強引ではあったが、それを現実のものとしてきた。
……そして、これからもその偉業を続けると思われていた矢先だったのだ。
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