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顔を真っ赤にして背ける。
…出会ったときの黎樹の言葉が、頭を反復していた。
『…だからね?君を口説きに来たんだよ。』
『この1ヶ月、色々な人を観察して見つけたんだ、君を。
ある意味、一目惚れだったよ♪』
あのとき、黙っていたのは……。
「…何故、性別を今になって言ったんだ?ずっと勘違いさせておいても…。」
「違うんだよ、賀竜。これにも意味があったんだ。」
皆が固唾を飲む中、更なる告白を始める黎樹。
「僕の母上は、類い稀な美姫だった。更に頭もよかった。
…そんな母上に一目惚れしたのが、賢王帝だ。」
皆が息を飲む。そう、賢王には子どもがいない。
「まぁ、"父上"に"嫡子"はいないよ。
何せ、母上は"正妻"ではなく、"妾"だったんだからね。
いやぁ、母上のあまりの美しさが"傾国の美女"扱いされでもしたら、嫌じゃない?
母上は自ら、妾になったんだ。カッコいいよね。
…だから、僕の存在は誰も知らなかったってわけさ。」
これで、黎樹が指名された理由が明るみになったのだ。
しかし、まだ"性別"の謎は解明してはいない。
「女って言わなかった理由の方が簡単だよ。
だって、王に女を据える認識はないわ、楼に女人入れないわだったんだから。」
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