黎樹の告白

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「…祝会で、お見受けしませんでした。 それに、雲稠たちもいなかったようにおもわれます。」 蒼波が、口を開く。 「…不味いんじゃないのか?もしかしたら、あいつらに言いように丸め込まれてるかもしれねぇ。」 「春蓮は誰よりも真面目だよ?」 「そういう心配じゃねぇよ! アイツはこの五年、一度だって話していない! 喋らないのを逆手に取られでもしたらって言ってんだ!」 黎樹は静かに微笑む。 「僕は信じているよ。たとえ、裏切られたとしてもね。」 そう言うと、賀竜の手を掴む。 「な、なんだよ?!」 意識してしまう賀竜。 「さぁ、僕らの親友を一緒に迎えに行こう。」 信じている、きっと彼女も信じて待っていてくれていると信じて。 三人の友情が伊達ではない証明をしに。 友情と忠誠。 それは、普通なら同時には考えられないだろう。 しかし、彼らにその垣根はない。 黎樹は、一度信じた者を裏切らない。 それは、今まで信じてきた自らの信念ややってきたこと全てを否定することになるから。 最後まで自分を信じ、友を信じる。 死が彼らを別つ、その時まで。 いやきっと、死しても尚、彼女は信じる続けるだろう。
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