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あれからすぐ、文官長雲稠率いる派閥の処分が全体会議で決まった。
満場一致で、解雇処分。
そして、黎樹はその場で追い討ちを掛けた。
「おまえは僕の素性を知りたがっていたよね?…最後に教えてあげるよ。
僕は、賢王帝が寵姫の子どもだったのさ。
…全てはおまえへの復讐と、国民の平安のためだったわけだ。
有り難く思いなよ?
…父上は、おまえの死を望まなかった。
生きて償え、老害。」
そして、雲稠は独房へと送られた。
自決は許されない。
二十四時間体制で監視される。
王殺しは、重罪だからだ。
当人が死を望んでいないとなれば、当然の措置だろう。
「…安心しなよ、じいさん。僕は後、数年の命だ。
だから、現役を退いたんだよ。わかるだろ?」
雲稠は何も言わなかった。
寧ろ、もう思い残すことはないような顔をしている。
だが、彼は寿命尽きるまで死ねない。
なまじか病気もしていないため、長い長い刑となるだろう。
━こうして、黎樹の復讐は幕を閉じた。
あとは、未来への置き土産だけ。
彼女は自分の中の砂時計が、さらさらと音を立てているのを感じていた。
元気な内に復讐出来たことが喜ばしい。
…刻一刻と、落ちる砂が減っていくことを感じながら微笑んだ。
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