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黎樹の告白
春蓮を指名した後、新大臣王を祝す宴が催された。
楼に溢れた国民のために、中継がなされた。
お酒を鱈腹飲んだらしい黎樹が、カメラの前に陽気に現れる。
「はぁい♪皆、見てるぅー?」
周りが一瞬、静まり返った。
何事かとざわめき出す。
それもそのはず、黎樹の口から発せられた声はいつもの声ではない。
……可愛らしい高音だ。
「あれー?どうしたのー?…………あ、そっかー。言ってなかったよねー?」
変わらず、ニコニコしながらカラカラ笑う。
「僕は、"女"だよ?皆、"男"扱いしてたのは自覚してたけどね?
…でも、僕は一言も性別を語ったことはなかったよ?」
ふっと、途中で声色を変える。
「女だからとか、男だからだとかさ?関係ないよね?
生きてる人間は、皆平等であるべきなんだからさ。」
この場にいる誰もが、異論など唱えない。
……だが、異論を唱えるだろう者たちはこの場にいなかった。
更に…………、主役であるはずの"春蓮"の姿もなかった。
「よぉーし!これから、夜通し語り合おう!
《蒼波(そうは)》!皆を集めて、僕の邸に集合だ!《獏(ばく)》も!」
「え"?!は、はい!畏まりました!」
大柄な文官が慌てて了承した。
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