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かなりの無茶をしたことは自分でも分かっていた。
そうまでしたのには理由があった。
……黎樹には時間が惜しかったのだ。
「…れ、黎樹様?」
女人を暗黙の了解で、楼に入れなかったことも撤廃していた。
最初にやってきたのは、春蓮の後に文官として入ってきた二名の女人の文官。
「やぁ、《小崋(しょうか)》に《娟々(えんえん)》。
良く来たね、待っていたよ。」
中に通し、座布団を勧める。
「あ、ありがとうございます。」
恭しくお茶を出す黎樹。
「申し訳御座いません!わたくしどもが致します!」
「嫌だなぁ、君たちはお客様だよ?
それに、僕はもう、大臣王じゃない。」
「ですが………。」
「大人しく歓迎されてよ、お願い。」
「は、はい………。」
優しく微笑むと、赤らめて黙ってしまう。
女と知った今でも、中性的な美貌に戸惑いが隠せない。
「黎樹様!黎樹様!」
蒼波が、大多数の文官たちを引き連れて、騒々しく現れた。
腕に小さな子どもを抱えて。
「この度は、ご招待に預かりまして……。」
「蒼波ぁ?堅苦しいよ、君はいつもいつも。」
「も、申し訳ありません。」
女人の文官たちがクスクス笑っている。
「あ、息子の"獏"です。ご挨拶をしろ。」
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