32人が本棚に入れています
本棚に追加
さっさと帰ってしまえばいいのに、
なぜかその匂いに後ろ髪を引かれて
帰ることができなかった。
間抜けにも突っ立ったまま、
坂下が料理してるのを見てた。
手際よく、
坂下はテーブルの上に
料理を並べていく。
……焼き鮭。
温泉玉子。
ほうれん草のおひたし。
具のたくさん入ったお味噌汁。
つやつやのごはん。
「……」
テーブルについた坂下が、
突っ立ったままの私を見つめる。
目の前には二人分の食事。
座れ、
そういわれた気がしてその前に座った。
「……」
手を合わせると、
坂下は無言で食べ始めた。
一瞬、悩んだけど、
食べていいのだろうと
箸を掴んで食べ始める。
最初のコメントを投稿しよう!