料理音痴

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「ごめんね、ほんと。 迷惑掛けて。 朝ごはんまでほんと。 ……ありがとう」   玄関で靴を履き、 笑顔で坂下を見上げる。 こんなふうに笑えるのは、 たぶん坂下が ごはんを食べさせてくれたからだ。 「……いつでも、メシ、食いにこい」 「えっ?……あ、うん」   なぜか視線を逸らした 坂下の真意はわからなかったけど…… そういってくれたことが嬉しかった。   それから。 坂下の言葉に甘えて、 時々ごはんを食べに行った。 嫌いなものだけ聞かれて、 あとはいつもおまかせ、だ。 なにが出てくるかはその日のお楽しみ。 一度、 いつも作ってもらうのは悪いので 手伝ってみたのだけれど……。 「……二度と料理するな」
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