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「てか、差出人の名前書いてなかったじゃんね」
「あ、確かに」
弥代が不思議そうにあたりを見渡し、手当たり次第に「お前か?」と聞いて回るがみんな首をそろって振る。
「まぁ、いたずらってこともあるしさぁ」
「てか暦はこの手紙誰から渡されたワケ?」
「おい人の話聞けよ」
弥代に聞かれた暦は、えぇと小さく声を漏らし顎に手を当てた。
「いやぁ、顔は見えなかったし」
「いやそれどういうことだよ」
「だってマスクしてたんだもん」
「いやそれにしても顔全体が隠れてるワケじゃないからわかるだろ」
「眼鏡かけてて、マスクと鼻息の荒さで眼鏡曇ってたんだもん」
「そりゃわからねぇわ」
私を挟んだ二人がフワフワした会話をするもんだから私も脱力をし、弥代に抱かれるがままになっていたその時、後ろから弥代の脇腹を殴る者が現れた。
「ちょ、痛っ?!」
脇腹を抑えた弥代は私を解放させ、私は見事自由の身になった。
「またベタベタくっついて!!!むっちゃんが嫌がるでしょう?!」
そういって腰に手を当て、フンッ!!と鼻から息を出したのは同じく幼馴染の野薔薇けまりだった。
けまりはポケットからいつものように飴を取り出すと、「ハイ飴ちゃん」といって私に手渡した。
お礼を言いつつ飴を口にすると「俺にもちょうだい」と言った弥代が再びけまりに腹パンを食らう。
「ていうか、もうチャイムなるからその面白そうな話は昼休みにゆっくりしようよ!!」
けまりがそういうと、納得したみんなは「じゃあまた」と言ってあっさり解散していた。
「はぁあ、ありがとうけまり。助かった~」
「いいんだよ!!やっちゃんのベタベタ癖は治さないとね!!」
けまりのガッツポーズを見て癒された私はぎゅっとけまりを抱きしめた。
「あれ?むっちゃんもベタベタ癖あるの?」といたずらに笑うけまりにまた癒された私は、けまりと一緒に教室に戻っていった。
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