出会い

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「…えぇ!!嘘だったの?!」 あれからお昼休みの時間まで時が経過し、今はあの5人でご飯を食べている最中だった。 「嘘に決まってんじゃん。大体、第二体育館とかバスケ部が部活で使うのにわざわざそこに呼ぶわけないじゃん。本当は、第三体育館裏だよ。」 あの時、私の手紙を読み上げた弥代は周りのみんなに嘘をついた。 弥代曰く「気遣い」とのこと。 「まぁ、第三体育館なら最近は使われてないし、裏だったら人目にもつきにくいし告白にはとっておきの場所だよね」 「まぁ…。うん…?」 苦笑いを浮かべながらお弁当のウインナーを口に運び暦の方を見た。 「んで、差出人は?あれも嘘?」 「うーん、半分本当で半分嘘。眼鏡はかけてたけど、鼻息で眼鏡は曇ってなかったよ」 「ぶはは!!まじかよ!!それ普通に変態だと思われただけじゃん!!」 「えぇ、いいアドリブだったと思うけど」 「名前は?知ってる人だった?」 暦はうーんと唸り、腕を組んだ。 「シキ…って名乗ってた気がする。寝起きだったからあんまり覚えてないや」 「シキ?聞いたことあるようなないような」 シキという人物を思い出そうと頭をフル回転させるが私の記憶からは出てこない。ちらりと希子ちゃんの方を見たが、そんなのは気にならないといった様子で黙々とご飯を食べている。 「まぁ、放課後にわかるか」 諦めた様にため息をつくと、弥代が私のお弁当の卵焼きをつまんだ。 「てかよー、お前行くわけ?」 「人のおかず勝手にとらないでよね。…行くにきまってるじゃん」 「ふーん」 弥代はもぐもぐと口を動かしながら高政のお弁当のトマトにも手を伸ばした。 「何でそんなこと聞くの」 「だって、どうせお前振るじゃん」 「わかんないじゃん」 弥代の決めつけたような言い方に少しむっとして言い返すと弥代は何食わぬ顔で続けた。 「お前、今まで告白してきたやつことごとく断ったじゃん。そいつらがなんて言ってるか知ってるか?」 「…知らないけど」 「難攻不落の月」 「何それかっこいい」 「そこ食いつくんだ希子ちゃん」
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