2人が本棚に入れています
本棚に追加
-------そして放課後。
私は鞄に教科書を詰め、第三体育館へ向かう。
どこから広まったのかわからないが、第二体育館で私が告白されるという噂が出回り、ニヤニヤとみられることが多かったが、弥代の変な気遣いのおかげで本当の場所がバレていないことは少し安心でもあった。
心の準備を整え、第三体育館の前を通り過ぎる。
次の角を曲がってまっすぐ行くと裏にたどり着く。
シキ……。何度名前を反芻していても新鮮な名前の気がする。
会ったことはないと思う。
恐る恐る体育館裏を覗いてみたが、まだ本人は来てないみたいだった。
「ふぅ…」
短いため息をつき、奥へと進む。
いい人だといいな、なんて淡い期待を胸に私は少しの間待っていた。
数分後に足音がしたのでドキリとしてその方を見つめた。
段々近くなってゆく足音に息を飲みながら姿勢を正した。
「あっ…えと、待ちましたか…?」
姿を現したその人はスラリと背が高く眼鏡男子だった。
想像していた「シキ君」とはうって違い爽やか系男子という言葉が似合うような色白の男子だった。
「あれ、えっと、手紙…見ましたか?」
「あっ!!えっと、うん。見たよ」
「すいません、あれ俺の先輩が勝手に書いて、その…あなたの知り合いに渡せって言われて…。あっ!!でも俺が呼び出したかったってのは本当で…。その、すいません」
「あ、ううん、大丈夫」
爽やか系男子君は私に近づくと小さく笑った。
「…先輩って…」
「えっ?」
突然、爽やか君は私の頭の上に手を置いた。
そして…
「案外小さいんですね」
「……へっ?!あ、うん小さい方かもしれない!!っておい!!」
突然のことに困惑しながらも手を払いジリリと距離をとった。
「あっ、すいません、つい…」
爽やか君は申し訳なさそうに言うが、顔はニコニコしている。
何だこいつドSか。
「…ところでお名前と要件は…?」
「あれっ?!伝わってなかったですか?!俺、名前伝えたはずなんですけど…」
「うちのフワフワ天使ちゃんは寝起きだったみたいだよ」
最初のコメントを投稿しよう!