第1章

11/24
72人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
「おかしな奴だったよ。名前言わないし、着てるものも汚くて、臭いし…」 「扉を開けたのか?」 レイフはマックスを振り返った。 「中で待っていいかって言うから…お前の友達だと思ったんだ」 「家に上げたのか?」 マックスは頷いた。 レイフは、キッチンとダイニングの間のカウンター超しにマックスを見た。 「マックス、俺の留守中には身内以外は家に入れるな。何かあったらどうする」 「だって、誰が身内で、誰が身内じゃないなんて分からない」 「追い出すぞ」 「分かったよ、悪かった」 「どんな奴だった?」 「背は…俺より10センチくらい高くて、がっしりしてた。髪はブラウンで短くしてて、目もブラウン…年は…30前後かな…お前のレストランの名刺を持ってて、そこにこの住所が書いてあったんだ」 マックスは何か考えていた。 「誰かに似てるな…え、と…あ、ダイハードに出てた…」 「ブルース・ウィルス?」 「じゃなくて、その息子の役してた人」 「映画は見ないんだ」 マックスは携帯で検索し始めた。 「あ、この人」 マックスは立ち上がると、レイフに携帯の画面を見せた。 レイフはしばらく画面を見ていたが、急にキッチンを出て2階へ上がった。 「レイフ、どうしたんだ?レイフ?」 マックスはレイフの後を追って、リビングから2階を見上げた。 「レイフ?」 レイフの声がした。 「ちょっと待ってろ」 マックスがその態勢のまま階段の下で待っていると、レイフが降りてきた。 写真を持っていた。 「こいつか?」 マックスは写真を受け取って見た。 「あ、そう、こいつ」 マックスはびっくりしたように言った。 レイフは緊迫した。 コナー・ヨークだ。 「何か言ってたか?」 「いや…」 「こいつが入ったのはリビングだけか?」 「そうだよ」 突然、レイフはエプロンを外すとソファーに投げ捨てた。 そしてソファーからテーブル、テレビ、棚をひっくり返し始めた。 「何するんだ」 マックスがびっくりしながら聞いた。 レイフが小声で言った。 「盗聴器を仕掛けられてないか…」 「そんな暇無かったよ」 「コナーはプロだ」 レイフは絨毯までめくった。 「あんな奴がプロだと思えない」 マックスは仕方なく一緒に探し始めた。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!