第1章

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しばらくして、レイフから電話があった。 「さっき電話くれたか?」 「あぁ、お前の友達が来たんだ」 「友達?シムか?」 シムは、マックスが知る限りではレイフのたった一人の友人だ。 「違う。誰だか知らない。名前聞いても言わなかった」 「男か?」 「うん、男」 「誰だろう…とにかく、今から帰るよ。晩飯買って帰る。何がいい?」 「ピザがいい」 「分かった。ピザと…適当に何か買って帰るよ」 「コーラも」 「分かった」  レイフは帰りもバスに乗って帰ってきた。 家の近くのスーパーでマックスのリクエスト通りにピザとコーラを買いに寄った。 買い物中、ふと誰かに見られている気がして周りを見回した。 レジの女性と目が合った。彼女は、レイフがレジに行くといつも何かしら話しかけてきた。 「このお菓子、美味しいですよね」 「今日は寒いですね」 「お洒落なネクタイですね」 マックスが言うには、彼女はレイフに惚れているらしかった。 だが、レイフは全く興味が無い。  レイフが帰るとマックスがソファーに座ってテレビを見ていた。 「お帰り」 「お腹すいたか?」 「うん」 マックスはニコニコしながらレイフを見つめた。 「ちょっと待ってろ。すぐに支度する」 レイフはキッチンに向かった。 マックスはレイフについて来ると、ダイニングのイスに座り、レイフの後ろ姿を見た。 レイフはすぐにサラダを作ろうと、野菜を洗い始めていた。
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