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ユキナは何も話さない。雪のように真っ白で綺麗なボディラインをした人型ロボットだ。ずっと長い間、僕の家で働いていた。
「ねぇ、父様。どうしてユキナは話さないの?」
「どうして?そりゃあ、ロボットだからさ」
「ふーん」
当時五歳だった僕はユキナをただ白いだけで、自分達家族となんら変わらない人間だと思っていた。だから父にロボットだと言われてもあまりピンと来なかった。確かに蜂の目に似た大きな瞳と鼻も口も耳もないのっぺりした顔は不思議だったけど・・・。
「良いかい?セス。どんなに月日が流れてもユキナの声を聞いてみようと思ってはいけないよ」
「どうして?」
「どうして?・・・て、お巡りさんに捕まってしまうからね」
「うん!」
あの頃の僕には父親の言っている意味が理解できなかった。両親の言う事は全て素直に聞き、理解できない内容でも頷いていた。
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