YUKINA――。

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「ねぇ、ユキナ。ロボットには感情がないって本当?」  僕は母がユキナの情報データから選びユキナに用意させた朝食を食べていた。ユキナは質問に答える訳でもなく母がプログラムした仕事を淡々とこなしていく。  そんなユキナをぼんやりと眺めながら僕は成長した。ユキナの方はといえば十年経ったといっても今までと変わらず、母が選んだプログラム通りの時間に、プログラム通りの家事をこなして休息をとる。 「なぁんかさぁ。不思議なんだよなぁ。ユキナのようなタイプのロボットって人間と同じように動いてる。指の関節一つ一つの動きだって僕ら人間と変わらないんだ。それなのに、聞こえない。喋れない。そんな機能、今の時代すぐに作ってプログラムとかもできそうなんだけど・・・」  僕はたまにしかスクールに行かない。技術系の授業や行事、そんな時以外は自室でホログラムに映し出される教師の授業を受けていた。僕らはそれが当たり前だと思っていたけど、歴史の授業でサーチル先生が言っていた。
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