YUKINA――。

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 遠い遠い昔、まだホログラムが今ほど発達していない時代の生徒たちは殆ど毎日スクールに通っていた。動かない歩道を歩き、浮遊しない自転車に乗って・・・。  サーチル先生のホログラムで授業を受けている殆どの生徒が『ジーザス!』て叫んだぐらいだ。  確かにそんな時代ならばロボットが言葉を理解して会話をする・・・なんて有り得ないだろう。だけど今の僕らの時代は違う。 「僕らが生まれるずっと前にあった戦争で耳をなくした人も口をなくした人も・・・新たに開発された人工耳とか付けて、何もなかったように生活しているんだよ。それなのに、人型ロボットが喋れない。聞こえないまま・・・なんて不思議だと思わない?」  そんな話をユキナにしても無駄な事は分かっている。分かっているんだけど、僕はユキナに話さずにはいられないんだ。
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