無口なキミと、

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……昔は手を繋いで帰ってたけど、陽太の背が私を越えたのを同時期に、自然消滅。 それがとても、悲しく感じる。 チクリと痛む左胸に手を置いた。 「あっ! 鹿野くんっ!」 後ろから声をかけられて固る。 ……この子、さっき教室で盛り上がってた子だ。 可愛くて、いかにも女の子っぽくて……。 なんとなく気まずくて私はうつむいた。 「ねっ、良かったら一緒に帰ろうよー!駅前のドーナツ屋の割引券持ってて……」 あ……私、完全に邪魔だね。 「っ……良かったじゃん陽太! 可愛い女子と放課後デート! 楽しんできなよ!」 精一杯の笑顔を作ってみせた。 同時に手に持ってた割引券がクシャリと音を立てる。
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