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まさか一緒に風呂に入るだけのことで、ここまで葉月が動揺するとは思ってもみなかった。
小さく震える彼女の身体に優しくキスをしながら、ようやく着ているものを剥ぎ取って、脱衣所から義兄の自作だという露天風呂へと足を進める。
義兄の駿(すぐる)さんは、元々日曜大工が趣味だったけれどまさか露天風呂まで作るとは驚きだった。
美瑛の冬は東京とは比べものにならないくらい寒いけれど、しっかり屋根まで作ってあるしこれなら雪が積もっても露天風呂が楽しめるだろう。
温泉好きな親父とお袋のために作ったのだろうけれど、ありがたいことだ。
「寒いからすぐ湯船に浸かれよ」
脱衣所を出る前に一応言ったのに、外に出るなり葉月は声を上げた。
「ひゃぁっ!寒いっ!」
すぐさま石造りの露天風呂の淵に行き、彼女の身体にお湯を浴びせてやる。
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