Act.29 Side Ayumu

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二人で身体を沈めた湯船から立ち上る煙と、凛と冷えた空気は優しくこの空間を包み込む。 「葉月」 彼女の名を呼び、華奢な身体を引き寄せて両足の間に彼女を挟み込んだ。 「…………」 まだ恥ずかしいのか俯く葉月の髪を寄せ、白いうなじにそっとキスをした。 「小悪魔め」 「っ!!!」 俺の呟きに慌てて振り返った葉月に笑いが漏れる。 「だけど俺は今、めちゃくちゃ幸せだ」 心からそう思えるのは、ずっと帰りたかったこの美瑛の空気と湯船の中で密着した身体の温かさのおかげかもしれない。
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