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「昨日の朝、私もSUN cafe に行ったんです。そのとき岡崎さんの後姿をみかけたので」
「そう…。げ、見てたの?」
「げ。って何ですか、もう!」
ふざけて運転する岡崎さんの
左ひじ辺りをべしっと軽く叩いた。
「痛。…暴力反対」
「暴力って大げさな!」
私は運転中で目が合わないのを分かった上で、じろっと岡崎さんを睨んだ。
岡崎さんに、後ろめたそうな様子はない。
やっぱり、昨日見かけたのは妹さんだったんだ。
雅の言う通りだった。
本当に妹がいるとは思ってもいなかったけれど、正体が分かって心底安堵した。
「…お願いがあるって改まって言うからなにか、大問題でも発生したのかと思うじゃないですか」
「うーん…。問題って言うか…
ただ、どうしようかなって困っていた。
他に当てもなくて」
「…そう、ですか」
『他に当てもない』と聞いてその後私は終始にこにこ。
頬が緩んで締まり無い顔をサイドミラー越しに気が付いて、慌てて顔を取り繕う。
からっとした天気。
車窓の外には入道雲も見えた。
私には束の間の、
楽しいドライブとなった。
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