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「これ! 可愛いっ!」 私はショーケースの中に並ぶネックレスを見てひとりで思わず声を上げた。 少し離れている岡崎さんを呼び寄せようと、おいでおいでと手招きする。 「……どれ?」 私の呼びかけに答えて側に来ると、岡崎さんもショーケースの中を覗いた。 わ…近い…… 自分で呼んでおきながらあまりの距離の近さにドキドキする。 今は某ブランドのバッグや小物が並ぶテナントのお店内。 私と岡崎さんはさっきからこんな感じで一緒に、ショッピングモール内をうろうろと冷やかして回っていた。 「…妹にアクセサリーなんて… プレゼントしたら気持ち悪がられるよなあ…」 人に何を買ったらいいかを聞いておきながら、とっても嫌そうな顔をする岡崎さん。 「そんなこと無いと思いますよ。 女の子は身に付けるものがいつも一緒というわけにはいかないんです。 こういうものはいくらあっても困らないんですから、妹さんも絶対に喜びますって!」 「…それでもあいつは俺の渡したアクセサリーはつけないと思うなあ。 …他にしない?」
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