203人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい。どーぞ。バニラ味」
「…あ、ありがとうございます」
岡崎さんは私にアイスを渡すとまた椅子に座った。
ペリペリと紙状の包装紙を開け、アイスを食べようとしてふと気付いた。
「…あれ? 岡崎さんの分は?
アイス、食べないんですか?」
缶コーヒーのプルタブに指を引っ掛け、まさに今開けようとしている岡崎さんに尋ねた。
「…俺はお腹いっぱい。
まぁ美樹がそれ食べ終わるまでは付き合ってやるよ。次どこ分かんないの?」
言いながら岡崎さんが私の問題集の、付箋が貼ってある箇所のページを開く。
私は黙ってその様子を見つめた。
…岡崎さん…、優しいな…。
妹さんいるから、
基本面倒見がいいのかも?
……あれ? じゃあ、なんで私が入社した頃、
私への対応が冷たかったんだろう?
「…ずっと、
興味ないんだと思ってた」
私の声が届くと岡崎さんがゆっくり顔を上げる。
「…ん? 何に? アイス?」
最初のコメントを投稿しよう!