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「はい。どーぞ。バニラ味」 「…あ、ありがとうございます」 岡崎さんは私にアイスを渡すとまた椅子に座った。 ペリペリと紙状の包装紙を開け、アイスを食べようとしてふと気付いた。 「…あれ? 岡崎さんの分は? アイス、食べないんですか?」 缶コーヒーのプルタブに指を引っ掛け、まさに今開けようとしている岡崎さんに尋ねた。 「…俺はお腹いっぱい。 まぁ美樹がそれ食べ終わるまでは付き合ってやるよ。次どこ分かんないの?」 言いながら岡崎さんが私の問題集の、付箋が貼ってある箇所のページを開く。 私は黙ってその様子を見つめた。 …岡崎さん…、優しいな…。 妹さんいるから、 基本面倒見がいいのかも? ……あれ? じゃあ、なんで私が入社した頃、 私への対応が冷たかったんだろう? 「…ずっと、 興味ないんだと思ってた」 私の声が届くと岡崎さんがゆっくり顔を上げる。 「…ん? 何に? アイス?」
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