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パッとルームランプが点灯するなか、
岡崎さんを見た。
「…こんな、時間に…?」
岡崎さんから視線を外し、車内のデジタル時計を見て時刻を確認する。
…もうすぐ夜の8時…
「…ちょっと、立て込んでいるみたいで」
「…そう、ですか…あ、じゃあ本当早く行かなくちゃですね。ごめんなさい」
私は慌ててシートベルトを外し荷物を持つ。
「…いいよ。あと少しぐらい。
大して変わらない」
ドアを開け出ようとしたら、荷物を持つ右手首を岡崎さんに掴まれた。
「…え? ……いんですか?」
急がなくてもいいのだろうか?
困っているから電話があったんじゃないのかな?
「…いいよ。いってもどうしようもないし、それより…」
「…それより? あ…」
ルームランプが消えた。
途端に岡崎さんの匂いに包まれて。
「…美樹、もう少しここに居たいんだろ?
…叶えてやるよ」
ぎゅっと抱きしめられていた。
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