*16*

7/15
前へ
/29ページ
次へ
雅の口から発せられたシンデレラという言葉に、私は敏感に反応した。 「うん。シンデレラって、ひとときの魔法をかけてもらって王子様に見初められるけど、 こっちは消えない魔法よ。だって自分にいつでもかけられるんだもん。 待ってちゃ駄目だ。やることやって、 自分で自分を磨き、飾り、王子様に自分の足で見初められに行く!」 雅は艶やかに微笑んで言った。 「お洒落をするとかそういうこと?」 和花が小さく挙手して質問する。 「そうそう。あと、内面磨きとかね。 ガラスの靴は自分で用意するのよ! …で、 王子様に振り向いてもらう方法なんだけどー」 「まって、雅。 王子様に…他に女の人がいる場合は… どうしたらいいの?」 私は雅の言葉を遮って、今の自分の立場を照らし合わせて聞いた。 「ああ、…そうだね、これは私の持論だけど……、 いい男に彼女がいるのは想定内でしょ」 「想定内!?」 雅はけろりとした表情で言った。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

176人が本棚に入れています
本棚に追加