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「んなっ…!」
抱きしめたくなると言われて、素直に頬を赤らめてしまった。
岡崎さんはシェリートニックをまた元の位置、テーブルの真ん中に置く。
「…そういう、からかい…もういいですってば!」
「…じゃあ美樹ももうそれ以上しっぽふるなよ」
「……ふるなって……はい…」
ちょっと不満顔を作って下を見た。
好きって伝えるのはいいけれど、岡崎さんの気持ちを無視して迷惑かけたらダメだよね。
まだ加減、わかんないけど……
「美樹の質問に答える前に、先に俺の話、してもいい?
ていうか、…同じ話なんだけどな」
「……え?」
「…もう、薄々気づいていると思うけど、
返事を待たせている理由は……
若菜のことなんだ」
“ 若菜のこと ”と言われて、
わかっていたはずなのに、胸は鉛を飲んだみたいにずんっと重くなった。
だけどこの痛みから目を逸らさない。
逸らしちゃいけないんだ。
「…はい。話して下さい……」
幸せを掴むために前に進むって、もう決めているから。
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