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「とてもお似合いですよ」
美樹の横には、髪の毛を後ろに束ね、綺麗な身なりをした店員が張り付くようにいて、高そうなネックレスを勧めていた。
「…似合ってる。それでいいだろ」
俺は早くこの居心地の悪い空間から立ち去りたかった。
「…祐哉くんちゃんと見てよ。
本当に似合ってる?」
「似合う似合う。
…これ、買います。下さい」
「かしこまりました」
ネックレスを指差し言うと、店員は微笑み、ラッピングするために俺たちのそばから離れていった。
「見て! これシリーズになってる!
チャームだけでも買えるみたい。
他のもいいなあ…あ、鍵のチャームも可愛い!」
美樹は再びショーケースを覗き込み、テンション高く俺に話しかけてきた。
「……チャームってなに?」
尋ねると、
「……ペンダントトップのこと。
…この先端のアクセサリーとかかな。ほらこの鍵とか王冠とかー。
あー、やっぱりこれも可愛いなぁ!
……よし、決めた。
私、この鍵のチャームを買う!」
嬉々とした顔で俺を見て美樹は言った。
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