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「…もう! 強引…」
息つぎをするように、美樹は俺の唇から逃れると、ため息混じりに呟いた。
「…俺の言うことを聞かず、勝手に散歩行こうとするから、手綱を引いただけ」
手首を少し強めに握る。
美樹はじっと俺を見つめてきた。
「……祐哉くんて、意外と……」
「…行っていいよ。おやすみ」
美樹が最後まで言う前に、俺は握っていた手を解き、ついでに体を離し背を向けた。
別に俺は、
美樹を束縛したいわけじゃない。
側にいてもらいたいが、美樹が本気で出て行きたいならそうすればいい。
彼女の意思は尊重したい。
…基本、そう思っていた。
そのままシステムデスクの前に座り、デスクライトのスイッチをパチンと点けると、テキストをまたパラパラと捲った。
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