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「俺なりの可愛がり方なんだけど…」
「わーい嬉しいっ!
…て、なると思う?!」
「でも、実際嬉しいだろ?
顔が喜んでいるし」
「……もういい。出て行くっ!
おやすみなさい勉強頑張ってねじゃっ!」
美樹は一気にまくし立てると、その勢いのまま部屋を出て行こうとドアへと向かった。
「…美樹」
名前を呼ぶとピタリと止まる。
「……なに?」
少し警戒した顔で美樹は後ろを振り向いた。
その様子に自然と俺の口元は綻んだ。
「また、明日な」
「……おやすみなさい」
美樹はドアノブに手をかける。
「美樹」
俺はもう一度名前を呼んだ。
すると美樹はまた振り向いて「なに?」と繰り返した。
時刻は23時59分。
そのギリギリで俺は彼女にようやく伝えた。
「…誕生日おめでとう」
その一言を。
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