*番外編*-2

16/34
前へ
/38ページ
次へ
10日後。 今朝も早い時間から、蝉は全力で鳴いていた。 締め切って冷房が効いている室内にはたくさんの人が居るが、蝉の声だけが響く。 俺は窓側の席で、真夏の陽は容赦なく解答用紙を白く照らす。 9時から11時まで行われる試験を俺は30分以上余らせて終えた。 途中退室は出来ないから、時間が過ぎるまで空に浮かぶ入道雲をぼぉっと眺めた。 合格発表は12月半ば。 お盆休みは試験勉強に費やしてデートらしいデートもせず、全く遠出をしなかった。 秋は、比較的ゆっくりと時間が取れる。 美樹とどこに行こうか… そんなことばっかり考えていた。 ヴーー… 《外で待ってます》11:05 試験を終え、会場である建物を出て行こうと移動していたら、ズボンのポケットに入れていたスマホが振動した。 内容を確認すると、美樹からラインが入っていた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

342人が本棚に入れています
本棚に追加