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「あけましておめでとうございます、悠太君。直君もわざわざありがとうございます」
リビングに入ると、爽やかな笑顔の高井さんが着物を着てモデルのようなポーズをとっていた。
「高井さん何してるッスか?モデルの練習……?」
「あはははは、んな訳ないだろ悠太~。よく見ろ」
さやか先生に爆笑されてしまった。……初笑いだったら嬉しいな。
「悠太~!あけましておめでとう!ちょっとごめんなさい、今手が離せないの!」
高井さんで隠れて見えなかったけど、芽衣子さんも来ていたのか。ガリガリと鉛筆を走らせて、高井さんにポーズの注文をつけている。
「あれなぁ、かれこれ三十分以上やってるんだぜ~。高井も良く付き合うよな?」
「さやか先生、芽衣子さんの原稿を手に入れる為ならいくらでも」
コソコソ話していた声が聞こえたらしい。前から思っていたけれど、高井さんは地獄耳だ。
高井さんの発言を完全スルーした芽衣子さんは、また新たなポーズの注文をつけている。
「………編集の仕事も大変なのだな」
妙なところで感心している直ちゃんは、さっきから空気のように気配がない。
「直ちゃん、ご挨拶も済んだし帰ろうか」
小さな声で話しかけると、ホッとしたように頷いていた。
ふたりが仲良くなるなんて、あり得ないのかなぁ。
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