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「………高井、俺が毎日居ても嫌じゃないのか?水曜だけじゃなくて、毎日だぞ?絶対嫌になるだろ?」
何故か絶対嫌になる筈だと決めつけられて、カチンときた。それを決めるのは、お前じゃないからな。
「………そう思うなら、試しに二週間。いや、一ヶ月うちに来い。明日荷物を取りに行くぞ」
才加は呆気に取られた顔をして、しばらく考えてからやはり冗談だと受け取ったようだ。
「………またまた~。高井、慣れない冗談は分かりにくいから止めろって~」
「俺は冗談など言った覚えはないが。お前は明日からうちに来い。最低一ヶ月は居てもらうからな。どうせ仕事も滞っているんだし、きっと芽衣子さん達も賛成する筈だ」
翌日。
俺の読み通り、芽衣子さんと金髪は大喜びで才加を送り出した。そうでもしないと現状が悪化する一方だと、誰もが危機感を募らせていたからだが。
当の本人は首を捻りながら「俺、あの二人を怒らせるようなことしたっけ」と、半分不貞腐れ気味で家を出ていた。
追い出された様に感じたらしいが、あの家はお前の自宅なのを忘れていないか、こいつ。金髪は下宿だし、芽衣子さんに至っては、住んでさえいないからな。
「………なあ~。高井、本当に一ヶ月お前んちで暮らすの?俺とお前が?………お前、絶対嫌になるよ………」
やはり頑なに決めつける才加を自宅の玄関のドアに張り付け、口を塞いで黙らせる。
「………才加、一ヶ月よろしくな。多分もう逃げらんねえぞ、俺は逃がす気ねーし。色々諦める準備をしておけよ」
「………っは、んっ何、言ってるんだよ高井!意味わから……んンっ、………っ、ふ」
今は分からなくても構わない。一ヶ月後、お前は俺の腕の中に居てくれるだろうか。
それだけが俺の望みなんだがな。
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