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「せんせー、来たッスよ~!」
玄関を開けて目に飛び込んできた金髪の眩しい笑顔に、思わず扉を閉めてしまった。
「…………あれ?高井さ~ん!俺、俺ッスよ~!悠太っスよ~!!おかしいな、たった三日会わない間に俺の顔忘れちゃったのかな…………」
…………んな訳あるか。
改めてゆっくり玄関扉を開けると、見えない尻尾をブンブンと振っている笑顔の金髪が飛び付いて来た。
「あっ!高井さん、思い出してくれたんスね~!!良かった、このまま忘れられたら俺もうどうしようかと思ったッスよ~」
「………そうですか。あの、金………悠太君。少し離れませんか?まだ玄関開いてますし。人に見られたらあらぬ誤解を受けますよ」
金髪がうちに来るのは初めてだ。今朝才加が金髪に会いたいと騒ぎ出し、もう家に帰るなどと言うので仕事も兼ねて来てもらった。
才加が来てまだ三日でこれだ。先が思いやられる。
「高井さん、先生はとにかく独りが嫌いなんスよ。だから日中は仕事場に来て、高井さんが仕事帰りにお迎えに来たらいいって芽衣子さんからの伝言ッス!」
………なるほど。俺は仕事があるし日中家には居られないからな。明日からそうするか。
「あっ、悠太!来たかー!!」
リビングから出てきた才加は、それは嬉しそうに金髪にタックルをしてきた。
「ちょっと待て、さやっ………ぐふっ。……俺にまでぶつかる必要が………」
俺を間に挟んではしゃぐ馬鹿二人………。頭が痛い。
「先生、会いたかったッスー!!先生は俺のこと忘れてないッスよね!?高井さん、さっき忘れてたんスよ~。俺もう、ショックで」
…………だから、たった三日で忘れるか。だいたいお前みたいな強烈な金髪、なかなかいないからな。
「あははははは、そーなのか?高井馬鹿だなぁ~」
…………馬鹿はお前とそこの金髪だ。
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