第1章

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「…………だよな?それならさ、もっと気持ち良くしてやるよ。大丈夫、お前はじっとしていればいいから。な?俺に任せて」 言いながら口を塞がれる。お前、俺の返事なんて聞く気ないじゃんって思ったけれど、深くなるキスと赤川の動きに翻弄されて、考えることを放棄した。 だいたいにおいて、自分は流されるタイプなのだ。心底嫌悪を感じなければ、まあいいかと思ってしまう楽天的な一面もある。 さらに、連日の徹夜とほんの少しのアルコール。 それから、ここが一番重要なところだが。俺以上にとち狂った友人が一人。 自分の身体を貪り尽くされながら、こいつがこんなに欲しがっているんだからまあいいかと、ぼんやり考えていた。 貧相な俺の身体の上を優しく触れて撫で回す指先や唇が、まるでお互いを想い合う恋人同士みたいだと、そんな錯覚をいだかせる。 自分の為ではなくまるで俺の為のようなその行為に溺れて快楽を追い、気を失うまで揺らされ突き上げられて、啼かされ続けた。 ーーーそれから数時間後。 狭いベッドで目を覚まし、途方に暮れる俺。赤川が起きたら、今までと何かが変わったりするのだろうか。 …………なあ。赤川、ほんと何考えてんだよ。 俺相手にあんなに盛るなんて、よっぽど溜まっていたのか?いくら考えても分からないけれど、俺達が何かを大きく間違えたことだけは確実だ。 温かい腕の中から自分で抜け出す勇気すらない俺は、数分後には再びまどろみ始めていた。
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