第3話

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うちの編集長でもある彼女に状況を説明して病院へ向かう途中、また金髪から連絡が入った。 ちょうど診察が終わったらしく、駐車場ではなくロータリーへと車を回す。 「あっ、高井さ~~~ん!!こっちッス~!」 派手な金髪頭が、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。その横にぐったりとした様子の才加を見つけなかったら、そのまま通り過ぎる所だった。 二人の目の前に車を着けると、会計を済ませた芽衣子さんも病院から出て来た。 三人を乗せて自宅へ戻る。才加はさすがに身体がキツいのか、ずっと目を閉じて金髪にもたれ掛かっていた。 帰る途中で眠ってしまった才加を寝室に運びリビングに戻ると、金髪がコーヒーの準備をしてくれていた。家事全般は何でも効率良くこなすらしい。 「悠太君ありがとうございます。………で、病院では何と?」 「それが、症状を見る限り身体的に異常は見つからないらしくて………。一応検査の結果待ちですが、もしかしたら心因的なものではないかって仰っていました」 …………心因的なもの。 「うちに連れて来たのはマズかったでしょうか」 俺と居ることがそんなにストレスになっていたのだろうか。 返事をしようとした芽衣子さんを遮って答えたのは、今日一番の働きを見せた金髪だった。 「先生は喜んでたッスよ!高井さんちは居心地がいいって言ってたッス!ここに来たことは、先生にとって良いことッス」 …………金髪、いや悠太君。ここに来てお前への好感度はうなぎ登りだ。
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