第3話

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しばらく三人で話し合い、それから二人は帰って行った。好感度アップの金………いや悠太は、俺と才加の夕飯にとリゾットを作ってくれていた。いい奴過ぎて、この先誰かに騙されないかが心配だ。アホの子だしな。 二人が帰ってから何度か才加の様子を見に行ったが、薬が効いているのかぐっすりと眠っている。 今のうちに風呂に入ってしまおうかとも考えたが、起きた時の不安気な顔が頭にチラついて落ち着かないので止めた。 せめて横に居てやった方がいいだろうか。具合の悪い時は誰でも急に心細くなったりするものだし、ましてや寂しがり屋な才加のことだ。確実に俺を探すに違いない。 この部屋は睡眠のみを追求した所為で、ベッド以外に家具らしい家具は置かれていない。 しばらく才加の横に座り込んで仕事をしていたが、薄暗くなった部屋ではそれも厳しくなってきた。幸いにもベッドにはまだまだ余裕があるから、起こさないように少し間を取って横になることが可能だ。 ………俺も寝ておくか。 目を閉じると、ここ数日の睡眠不足の所為ですぐに眠りに落ちた。三日の間すぐそばに好きな奴がいて、手を出さなかった自分を褒めてやりたい。 スキンシップは確かにあった。だがそれもキスやハグ程度の軽い触れ合い止まりだ。 それ以上に触れたい気持ちはもちろんあるが、ただでさえ勘違いしている才加にはその為に呼んだと誤解されたくなかった。………多分しているとは思うが。 長く続いた関係を一からやり直すのはなかなか難しい。結果、ペットと飼い主のようになってしまったのは大きな誤算だった。 そういう訳で睡眠不足の俺は才加が目を覚ますまで隣で一緒に爆睡してしまい、気が付いたら深夜になっていた。
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