第2章

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高井さんは驚いて固まる俺の耳元に顔を寄せて、肩に乗せた手を滑らせながら囁いた。 「黒田先生、ここ………。こんな目立つ場所につけられて。隠した方が良いですよ?変な輩に目を付けられたら、大変ですし」 首筋を滑る指先がくすぐったい。………変な輩?一体どういう意味だ……?絡まれるってことなんだろうか。 「あ、あの………」 大丈夫ですからと続けようとした時、玄関の扉がギイッと鳴った。驚いて顔を上げると、帰ったとばかり思っていた赤川がコンビニの袋をぶら下げて立っている。 ………なんだ。帰ったんじゃ、なかったのか。 ホッとすると同時に想定外のタイミングで顔を合わせたことに、パニックになった。 「…………高井さん。こんなところで時間を使って大丈夫ですか?それ、急ぎなんですよね?黒田、ちょっと退いて」 赤川は全く気にした様子も無く、至って普通に部屋に上がってくる。 「…………あ、あの高井さん、」 あいつは一体何を怒っているのだろう。とにかく高井さんに申し訳なくて頭を下げようとしたら、背後から赤川に押さえ付けられてしまった。 お前の失礼な態度を謝罪しようとしたのに、何してるんだよ。………言葉にはならなかったけれど。 背後から羽交い締めされているんだか、抱き締められているんだか良く分からない状態で密着した場所が、熱い。 「高井さん、俺達あんまり寝て無いんです。そろそろ黒田を休ませても良いですか?」 …………どうしちゃったの、赤川。
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