第2章

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「…………あ、赤川……」 赤川の真意が分からない上に、火照り始めた自分の身体の節操の無さに、ジワリと涙が滲む。 そんな俺に気が付いた赤川は、パッと身体を離して、にこりと笑った。 「…………なーんて、な?驚いた?腹減ったよなぁ~、買ってきたメシ食おうか」 赤川は、普通だ。 あんな事があったのに、普通すぎる程普通。 抜いただけだし良くあることだよね~なんて、言えないレベルで密着して友人のラインなんて、とっくに越えた。 それなのに、いつもと違うところが見当たらない。いつも通り爽やかで、いつも通りに気が利いて、いつも通りに強引だ。 高井さんに謎な威嚇はしていた気がするけれど。そもそもあの二人は、初対面の時から反りが合わないようだった。 どちらも異性にモテそうなイケメン臭を漂わせているし、気が強そうな雰囲気も、それなのに妙に優しいところまで似ている。 ただ年の功なのか、性格なのか。高井さんの纏う空気の方が柔らかい。そして、爽やかさの種類が違うような気がする。 赤川に爽やかな風が、サアッと通り抜けるのだとしたら、高井さんはそよそよと風を纏わせているような感じだ。 まあ、あくまで俺の勝手なイメージだけど。 …………でも、今日の高井さんは怖かったな。
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