第2章

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「ほら、起きれるか?ちょっと行儀悪いけど………まぁ今更か。少しは楽だろうからベッドに寄りかかってろ。お前、おにぎりとサンドイッチどっちが良い?」 赤川はコンビニの袋から大量のパンやらおにぎりを取り出した。…………うっぷ。正直、見るだけでお腹いっぱいなんだけど。 「…………少しでいいから、ちゃんと食え。な?」 野菜ジュースと共に渡された焼きそばパン。どれがいいか聞いておきながら、俺の好みはちゃんと把握している。 「うん…………。ありがとう」 赤川が笑って頭をポンポンと叩く。そのままクシャリと髪に指を通して引き寄せると、驚きで目を見開いたままの俺にキスをした。 …………自然に。まるで、そうすることが当然みたいに。 ちゅっ、ちゅっとわざとリップ音を立て、口唇を甘噛みされる。 …………何だこれ。 恋人が一度も出来たことのない俺が言うのもなんだけど。………これ、恋人同士のじゃれ合いみたいなんだけど。 もし俺が少女漫画じゃなくてもう少し大人向けの作品を作っていたら、こんなじゃれ合いを描いているだろうなってくらい、甘い。 甘噛みされ軽く吸い付かれ、こそばゆい、叫び出したくなるような甘ったるい空気の中。 ちらっと見たイケメンの赤川は、愛しい者を見るような目で俺を見ている…………気がする。いや、まさかね。 赤川は元々優しい男だ。フェミニストだし。もちろん俺は女じゃないけど、男の俺にもいつも優しい。 だから、きっとこれもその延長線上にあるんだ。…………キス付きだけど。
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