第1章

5/14
前へ
/314ページ
次へ
俺はもともと食が細い。目の前に積まれたピザを見るだけでお腹が一杯になった気がする。 食べかけのピザを眺め、ふうっと息を吐く。赤川はそんな俺のピザを再び取り上げると、何切れ食べたんだ?と聞いて来た。 まるで実家の母親みたいだと思いながら、小さな声で二切れ食べたと答えると、赤川の大きな手がポンポンと頭に乗せられる。 「ま、仕方ねーか。後は俺が食うから、お前はそれ飲んでろ」 俺にしては二切れも食べて、良く頑張った方だ。いつもなら一切れで止めてしまう。それに比べて、赤川は良く食べる男だ。この細い身体のどこに入っていくのかと思うほど、量を食べる。 まあ。その結果はお互いの体格に如実に表れてはいるが。 きっと赤川が食べた分は全て、筋肉になるに違いない。この、細マッチョめ。 ペラペラの自分とは違い、細くてもしっかりとした体躯が羨ましい。…………もう少し、食べる量を増やそうかな。…………明日から。 今日は二切れも食べたから、良しとしよう。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2453人が本棚に入れています
本棚に追加