第1章

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「無理だよ」 私の言葉にコージは愕然。顔面蒼白。ワナワナと唇が震えている。 「……い、今、なんて言った?」 「無理だよ、って言った……」 「この流れから、よく断れるよね?」 「私に断る権利はないの?」 「いやいや、ちょっと待って俺の事好きだよね?」 「好きだよ」 「一緒にいたいと言ったよね?」 「言ってないけど、思ってるよ」 「なら、なんで?」 「こっちこそ、なんで?」 「はっ?」 「はっ?」 「えっ、ちょっと待って、えっ、何? これ、何?」 コージは軽い、いや、重いパニックに陥った。私を見たり、視線を宙に彷徨わせたり、 「結婚なんて、非現実的だよ」 「だって、一緒にいたいんだよ」 その気持ちはすごく嬉しい……私だって泣きたくなるくらいコージが大好きだ……でも、でもっ、それとこれとは別問題! だから、 「私だって一緒にいたいよ、コージの事、大好きだもん!」 素直に気持ちをうち明けた。困惑の表情から笑顔に変わり――、 「なら……しようよ、結婚。俺は堂々とみんなに言いたい、実尋と結婚するって」 コージの言葉は嬉しくて、ホントに泣きそうだった。胸がギュッとつかまれたみたい、 でもっ、私にだって夢がある。付き合って、デートして、一緒に幸せな夜を過ごして……恋人同士の時間をたくさん満喫して……って、それって、そんなに贅沢かな? 願ったらいけないの?おまけに―― 「私コージの事何も知らない」 「えっ?……それは、俺だって」 私の言葉はコージの勢いを少しだけ落ち着かせた。 「好きなものも、好きな色も、好きな音楽も、誕生日も、血液型も、な~んにも知らない」 「だから、それは俺だって……同じだろ?」 「――なんで?――なんで、交際から始めてくれないの? 私は、コージの彼女になりたい、いきなり奥さんじゃなくて、コージの彼女になりたいのに」 「……」 「コージが大好きだから、彼女になりたいんだよ!」 私の想い、コージに届きますように……
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