第1章

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となると…… 「じゃぁ、あの電話は?」 車の中で、兄貴からじゃんじゃん鳴ってた。フッと息を吐くように小さく笑った気配。 「あぁ、あれはね、ん~、なんて言うか……そうだな、最終確認? そんなようなものだよ」 「最終確認?」 「そっ♪」 「何それ? ってか、信じられない……、兄貴がお泊まりを許すなんて」 「俺がいい男だからだろ?」 「意味わかんない」 憮然とする私。 「まぁ、いいじゃん♪ 結果、許してくれたから、ここにいるんでしょ?」 「私、拉致られてないよね?」 「変な言い方するなよ、自分が一番わかってるんじゃないの?」 「……」 「何、帰りたいの?」 「……ごめん、そうじゃないの」 なんともか細い声になる。カチリとドライヤーのスイッチがオフになり、ポンポンと優しくコージの右手が私の頭を撫でた。 「……大丈夫、ちゃんとわかってるよ」 「えっ?」 振り返ろうとして、後ろからギュッと抱きしめられた。コージの腕が私身体を包みこんでいる。 「心配しなくても平気」 息が耳にかかり、くすぐったい…… 「さっきのはさ……、ちょっとしたヤキモチからくる、意地悪だから」 「……」 さっきのって……キスのこと? 「今日は……一緒に寝るだけ」 「……」 「それ以上の事はしない……それなら、いいでしょ?」 「……コージはいいの?」 「いいの? と、言われればよくないけど……一緒にいられれば今日は満足」 私を大切にしてくれる。すごく嬉しくて… 「……ありがと」 やっと、素直にお礼が言えた。 「どういたしまして♪さっ、寝るよ♪」 立ち上がったコージの手に引っ張られるようにして立たされる。 「あっ、ねぇっ!」 呼び止めた私。 「何?」 小首を傾げて、コージが私を見つめてた。
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