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となると……
「じゃぁ、あの電話は?」
車の中で、兄貴からじゃんじゃん鳴ってた。フッと息を吐くように小さく笑った気配。
「あぁ、あれはね、ん~、なんて言うか……そうだな、最終確認? そんなようなものだよ」
「最終確認?」
「そっ♪」
「何それ? ってか、信じられない……、兄貴がお泊まりを許すなんて」
「俺がいい男だからだろ?」
「意味わかんない」
憮然とする私。
「まぁ、いいじゃん♪ 結果、許してくれたから、ここにいるんでしょ?」
「私、拉致られてないよね?」
「変な言い方するなよ、自分が一番わかってるんじゃないの?」
「……」
「何、帰りたいの?」
「……ごめん、そうじゃないの」
なんともか細い声になる。カチリとドライヤーのスイッチがオフになり、ポンポンと優しくコージの右手が私の頭を撫でた。
「……大丈夫、ちゃんとわかってるよ」
「えっ?」
振り返ろうとして、後ろからギュッと抱きしめられた。コージの腕が私身体を包みこんでいる。
「心配しなくても平気」
息が耳にかかり、くすぐったい……
「さっきのはさ……、ちょっとしたヤキモチからくる、意地悪だから」
「……」
さっきのって……キスのこと?
「今日は……一緒に寝るだけ」
「……」
「それ以上の事はしない……それなら、いいでしょ?」
「……コージはいいの?」
「いいの? と、言われればよくないけど……一緒にいられれば今日は満足」
私を大切にしてくれる。すごく嬉しくて…
「……ありがと」
やっと、素直にお礼が言えた。
「どういたしまして♪さっ、寝るよ♪」
立ち上がったコージの手に引っ張られるようにして立たされる。
「あっ、ねぇっ!」
呼び止めた私。
「何?」
小首を傾げて、コージが私を見つめてた。
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