早田君、はじめまして

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* 週明けの月曜日、部活棟へ向かおうとすると、またもや直也君が私を引き留めてきた。 今日はもう無理だからね。 と言わんばかりに、わざとらしく両耳を塞いで話を聞かない。 すると、彼はその手をどけて―― 「一緒に行こうって言おうとしただけだしー」 ふくれっ面でそう言われ、直也君は背を向ける。 「な……なんだ。私、また課題手伝ってって言われると思ったから」 「俺のことなめんなよー」 「ごめんごめん」 彼に追いついて顔を覗き込むと、言葉とは裏腹に、直也君は笑っている。 幼稚園の時から、ずっとずっと一緒だった。 良い所も、悪い所も知っている仲。 昔はよく喧嘩もしていたそうだ。 それでも離れずにずっと近くにいる、大切な存在。 家族同士も仲が良かった。 「あぁ、お腹空いた。さっさとお菓子作って腹に入れたい」 「食べることもだけど、作るのが楽しいんだよ」 「俺、それはないわ。食べるの目的でこの部活入ったもん」 そうなのか。 確かに、彼も製菓部に入部すると聞いたときは、私は疑問を覚えたんだ。 直也君がお菓子作りだなんて、とても似合わないから。
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