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週明けの月曜日、部活棟へ向かおうとすると、またもや直也君が私を引き留めてきた。
今日はもう無理だからね。
と言わんばかりに、わざとらしく両耳を塞いで話を聞かない。
すると、彼はその手をどけて――
「一緒に行こうって言おうとしただけだしー」
ふくれっ面でそう言われ、直也君は背を向ける。
「な……なんだ。私、また課題手伝ってって言われると思ったから」
「俺のことなめんなよー」
「ごめんごめん」
彼に追いついて顔を覗き込むと、言葉とは裏腹に、直也君は笑っている。
幼稚園の時から、ずっとずっと一緒だった。
良い所も、悪い所も知っている仲。
昔はよく喧嘩もしていたそうだ。
それでも離れずにずっと近くにいる、大切な存在。
家族同士も仲が良かった。
「あぁ、お腹空いた。さっさとお菓子作って腹に入れたい」
「食べることもだけど、作るのが楽しいんだよ」
「俺、それはないわ。食べるの目的でこの部活入ったもん」
そうなのか。
確かに、彼も製菓部に入部すると聞いたときは、私は疑問を覚えたんだ。
直也君がお菓子作りだなんて、とても似合わないから。
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