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何度かまばたきを繰り返してから、目の前ではにかんだ笑顔が咲く。
こんな風に胸がきゅっ締めつけられるたび、未練を自覚して虚しくなってしまう。
愛なんてものは、とっくに灰に帰したはずなのに。
「ねぇ、碧さん。
アンさんは……元気にしてる?」
私は灰という単語をきっかけに湧き出した、もう一つの疑問を口にした。
脳裏に蘇る温室の薄紫の花。
あのシオンの下に眠るのは、果たして本当に彼女なのだろうか。
碧さんはソファーに座り直してから、うーんと小さく唸った。
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