とある雪の日、とある場所で

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「瀬戸内あんなにモテるのに、美莱一筋じゃん。愛されてるよねぇ」 そう言って亜由佳があたしをつついた瞬間、あたしの携帯が鳴った。 メッセージの差出人は、話題に上がっていた本人、真司。 画面を開いて、さりげなく亜由佳に見えない角度でメッセージをチェックする。 「...ごめん、今日一緒に帰れない」 「えーまた瀬戸内?」 真司とあたしの仲が良いと羨ましがるわりに、こういう時は拗ねるのが亜由佳だ。 「ん、そう」 最近多いよーという文句を聞き流しながら携帯をしまい、ごめんねと手を振って、もと来た道を戻った。 ーー今日親いないから どうせなら、先に言っといてくれればよかったのに。 わざわざ遅れて言うなんて。 こういうことが、真司にはよくある。 わざと遅れてメッセージを入れて、あたしを引き返させるのだ。 どういう意図でやってるのかは分からないけど、あれは絶対ねらってる。
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