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いつからだったかな。
本当に小さい、物心がついたばかりの頃。
気付けばもうあたしには、帰る場所がなかった。
あたしの家にはいつも、お母さんと男がいた。
男と言っても、日ごとに違う人。
何日か後に、また同じ人がやってくるという感じ。
毎日毎日、いろんな男が、お母さんを買いにやってくるのだ。
そんな男の隣では、お母さんが、あたしが見たこともないような笑顔を浮かべていた。
眩しいくらいに、綺麗な笑顔を。
そしてその笑顔が、あたしは嫌いだった。
あたしの家は、お母さんとその男のための場所。
あたしがいることは、許してもらえなかった。
男が来るたびに、あの笑顔ではなく、ひどく冷たい目をしたお母さんが、容赦なくあたしを追い出すんだ。
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