あの人のこと

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テニス部は、毎年、入部者の歓迎会として、顧問の先生も呼んで食事に行く。 自己紹介したり、顧問からの挨拶があったりして、おいしい食事と飲み放題のドリンクを楽しんだ。 その帰り。 私は、いつも通り、わざとゆっくり準備をして、ある程度みんなが出るまで、席にいた。 靴を履いて、席を振り返る。 残りの人が、しゃべりながらコートを着ているのを見ながら、さりげなく忘れ物がないか確認する。 これは、妹の世話をしないといけない母からいつも、忘れ物の確認をするように 頼まれていたため癖になっていることだ。 流石に、あからさまに確認すれば、相手に失礼だし、いい子ぶりっこだなんて思われたくないから、こっそり見回すようにはなったが。 その日もいつも通り、見回していた。 すると、ふと佐藤君と目が合った。 ・・・えっ? その瞬間、おそらくお互いに同じことをしているんだと分かったと思う。
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