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『やっぱり、あげません。』 意地悪な顔をして、部長を見たら。 『うわ……マジかよ。』 ハート型にされた人参が、たった1つ入ってたから。 それが、温泉で人参をくれた理由。 ハート型の人参だからくれたなんて……。 ただそれだけのことを、こんなに言わないなんて……実は照れ屋さんなのかもしれない。 それ以上に恥ずかしくなることは、強気なクセに。 なんだろう。 ものすごく擽ったい。 ものすごーく。 『彩星、あとで覚悟してね。』 口角をキュッとあげて、わざと優しく微笑んだ部長に、呆気なく主導権を握られた。
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